プレスリリース

「ものもの by MATSURI」展示品一挙公開! 2025年大阪・関西万博日本館ファクトリーエリアにて 藻類を活用した循環型ものづくりを実現

2025.04.14
  • MATSURI
  • 藻類

ちとせグループが主導する藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」は、2025年4月13日開幕の2025年大阪・関西万博における日本政府館(以下、日本館)のファクトリーエリアにて、藻類を活用した循環型ものづくり展示「ものもの by MATSURI」を公開いたします。展示品を手掛けた各企業の想いや開発の背景とともに、その全容をご覧ください。

日本館は「いのちと、いのちの、あいだに」をテーマに掲げ、いのちを繋ぐ「循環」が重要なキーワードとなっています。館内は「プラントエリア」「ファームエリア」「ファクトリーエリア」の3つで構成されており、藻類が主役のファームエリアでは、ちとせ研究所が技術監修を担当し、続くファクトリーエリアでは、MATSURIが「ものもの by MATSURI」と題した展示を担います。本展示では、藻類を素材に用いた衣類、化粧品、食品、塗料、PET樹脂、航空機燃料や船舶燃料など、暮らしを支える様々な「藻の物」が並びます。日本館公式ショップのすぐ横で、ガラスの向こうに広がる未来のウィンドウショッピングをお楽しみください。

■株式会社ちとせ研究所
化石資源に頼らず、藻類が持つ光合成の力と太陽の光を活用した持続可能なものづくり。それはもう遠い未来の話ではなく、現実となりつつあります。万博をきっかけに、これまで人知れず輝いていた藻類の魅力が多くの方に伝わり、社会を支える大きな力になると信じています。光を浴びて成長する藻類そのもののように、藻類由来の展示品群もまた日本館のスポットライトの中でその存在感を示し、未来の日常を描きます。

息吹(ドレス / 衣類)
藻類および藻類由来成分をブレンドしたバイオ由来シートを生地に使用しています。デザイナー田畑拓見が表現したのは、生き物が持つ美しさや、静かに佇み力強く息づく生命活動。藻類の多様な色彩と質感がグラデーションを織りなし、呼吸するかのようにドレスに広がります。「息吹」は、化石資源に依存した社会から、光合成を基点とする循環型社会への転換を象徴しています。藻類が生み出す素材は、やがて私たちの衣食住を支える未来の資源。これは藻類の生命力をまとい、新しい時代の「息吹」を感じさせるドレスです。

SAF-MATSURI(ジェット燃料)
藻類から得られる油を原料に、乗り物の動力源となる燃料を作ることができます。MATSURIでは藻類由来のSAF(Sustainable Aviation Fuel; 持続可能な航空燃料)の実用化を目指して研究・開発を行っています。展示はイメージを表現した模型ですが、100%藻類の力で空を飛ぶ未来を現実にすべく、私たちは歩みを進めています。

PET-MATSURI(PET容器素材)
これまで化石資源に依存していたPET素材ですが、世界で初めて藻類を活用した100%バイオPET樹脂を開発しました。 太陽の光と光合成の力によりつくり出されたこの素材は、次世代ものづくりの象徴です。「使えば使うほどCO₂が減るPET樹脂」という新しい価値を社会に届けるため、MATSURIはこれからも藻類生産技術を改良し、挑戦を続けます。

■株式会社資生堂
化石資源に代わる未来へのアプローチとして、資生堂の研究開発が着目する藻類。太古の時代からこの星で生き続けるミクロの生命体が持つ息をのむ美しさ、急激な繁殖力に無限の可能性を感じています。1872年創業時より私たち資生堂が受け継いでいるDNAの一つであるアートとサイエンスの融合が、プレミアムとサステナビリティが両立する化粧品への力強いインスピレーションをもたらしました。大阪・関西万博で展示するスキンケア化粧品のプロトタイプ(ビジョンプロダクト)原点には、社名の由来である「至哉坤元 万物資生」※1 の精神があります。人々に美を届けるだけでなく、大地や自然まで美しくする化粧品でありたい。そんな願いをこめ、「美の玉」と名づけました。

※1 大地の徳はなんとすばらしいものであろうか。全てのものは、ここから生まれる。

美の玉 しずく(スキンケア化粧品プロトタイプ)
海、いのち、玉。藻類の美しさを海色の小さなビーズで表現した美容液です。資生堂が開発したリピッドシェル技術※2 により、藻類由来のオイルをビーズ状の殻(固型油分シェル)で包みました。手のひらに落ちる珠玉の一滴。とろけるようにみずみずしく、肌にやさしくなじんでいく。生命力に満ちた肌に導くのをイメージして処方開発しました。

※2 水と油を混ぜるとできる小さな粒子(乳化粒子)は、分離しやすいため、通常50μmよりも小さいサイズで作られています。リピッドシェル技術は、乳化粒子を目に見える大きさにしながらも、安定に保つことのできる技術です。

ビジョンプロダクト(化粧品プロトタイプ) 左)美の玉 まがたま 右) 美の玉 しずく

美の玉 まがたま(スキンケア化粧品プロトタイプ)
大地、いのち、自然のたまもの。自然への敬意、日本古来の美意識をインスピレーションに開発した3色の玉のクリームです。昆布などの褐藻類が進化の過程で得たゼリー状多糖類を、膜形成技術の応用により成型しました。手のひらでやさしくつぶすと、クリームのようなエッセンスがあふれだす。使うひとときがやさしく心地よいものになることをイメージして処方開発しました。

美しい微細藻類

■マルハニチロ株式会社
わたしたちマルハニチロは、経済付加価値の最大化を土台に、持続可能なサプライチェーンの構築や食の提供といった社会価値と、循環型社会の実現といった環境価値を掛け合わせて、大阪・関西万博の、地球規模での様々な課題に対して新たな価値観を生み出し、持続可能な未来を構築することができるにちがいないという信念に応えていきたいという想いをもって参加します。

藻類味噌汁~スピルリナ~(フリーズドライ味噌汁)
日本の食文化を代表するメニューである味噌汁に、光合成を通じて酸素や糖などを生み出しながら、培養に土壌を必要しないことから環境負荷が小さく、タンパク質などの豊富な栄養素を備えた藻類「スピルリナ」を、具に加えました。「食べる」という行為を通して、微細藻類が持つ力と持続可能性を考える・感じるきっかけを提供したいです。また、大阪・関西万博の食べるという行為の価値を考え、日本の食文化の根幹にある「いただきます」という精神を発信するというテーマ事業「いのちをつむぐ」にも共感していただけると幸甚です。また、日本館をめぐる「循環」を来場者自身の体内にも取りこむ体験として、6月下旬以降、藻類味噌汁をファームエリアにて配布予定です。

■武蔵塗料ホールディングス株式会社
武蔵塗料グループは、「色と機能で世界を豊かに」というパーパスのもと、地球環境保護への貢献に真摯に取り組んでいます。当社の植物由来バイオペイントは、すでに工業用途での実用化が可能なレベルに達しており、その普及に向けた取り組みを続けています。さらなる革新と社会貢献を追求する中で、ちとせグループとの強力なパートナーシップのもと、世界初となる藻類由来樹脂を活用したバイオペイントの開発に成功しました。2025年大阪・関西万博では、藻類の可能性が世界的に注目を集める中、私たちはこの万博を通じて、藻類活用の革新的技術を広く発信し、藻類産業化への関心を高め、循環型社会の実現に向けた変革を加速することを目指します。

 

PAINTOMO(環境配慮型塗料)
藻類由来の原料からつくられた環境配慮型塗料を使用し、持続可能な未来を象徴するオブジェを制作しました。塗料缶から革新的な塗料が飛び出す様子を造形することで、自然由来の創造力が広がり、未来へとつながる前向きなエネルギーを表現しています。

■株式会社富洋海運
MATSURIで開発されている藻類由来の製品群の中には船舶や航空機向けバイオ燃料も含まれており、これらも重要な工業製品です。バイオ燃料は農作物、廃材、食用廃油など多様な原料から作られ、環境負荷の低いことが着目されて世界中で使用量が拡大しています。これらの燃料は普通の船舶で使うことができるので、今すぐに船舶からの脱炭素化に貢献することが可能である一方、バイオ燃料の供給量が限定されているという課題が残っているため、展示されている本船の様に、従来型重油、バイオ重油、従来型メタノール、バイオメタノールといった4種類の燃料を使えるような柔軟性が求められます。富洋海運グループは、海運の脱炭素化という大きな課題を解決する手段として環境負荷の低いバイオ燃料に注目しており、MATSURIに協賛して藻類由来バイオ燃料の生産拡大に大きな期待を持っています。

カムサマックス(バイオ燃料対応ばら積船)
KAMSARMAXは常石造船が独自開発したばら積み貨物船で、鉄鉱石・穀物など梱包しない貨物を運んでいます。世界中の国々を繋ぐ重要な役割を担っており、私たちの経済活動に必要不可欠な船です。KAMSARMAX は1度に82,000トン積載する事ができ、この際に運ばれるお米は15億杯分に相当します。この量は、1クラス30人が毎日3食食べ続けても約5万年かかるほどの膨大な量です。KAMSARMAXは世界中のお客様からご支援頂き、マーケットシェアの高さから海運業界の市場動向を示す指標であるバルチック海運指数の1つにもなっています。

■テーブルマーク株式会社
私たちは「食事をうれしく、食卓をたのしく。」をパーパスとし、「おいしさ」だけでなく、期待を超える驚きや新たな食との出会いによる「うれしい食事」、大切な人と一緒に食べる喜びや笑顔をもたらす「たのしい食卓」をお届けしたいと考えています。また、私たちの事業は、自然の恵みを加工しお届けするものであり、自然と社会、食は切り離すことができません。食品としての価値創出に加え、環境保全なども含めた「持続可能な未来づくり」への取り組みが必須と認識しています。現在、循環型社会形成への取り組みの一例として、お米由来のバイオマスフィルムを使用したパックごはんを展開しています。本年、私たちのパックごはんが発売30周年を迎えるにあたり、新たな循環型社会形成への取組案として、代替資源として期待される藻類を活用した未来の食品をご紹介します。

大地の紬(パックごはん / おにぎり)
パックごはん
石油由来のプラスチックに代わるバイオマス素材として、藻類をトレーの素材に一部活用し、環境に配慮した「未来のパックごはん」を提案します。商品名「大地の紬」には、米を育む大地と藻類を育む水との循環を表現する想いを込めています。また、パッケージでは、私たちのアイデンティティである米粒マークとこだわりの製法を巡らせた赤い糸で「未来のパックごはん」を通じた人々や藻類とのつながりを表現しました。

おにぎり
日本の伝統的な食べモノである「おにぎり」に、環境負荷が小さく、栄養豊富な未来の素材である藻類を混ぜ込み、微細藻類からつくった海苔で包んだ「未来のおにぎり」です。

「ものもの by MATSURI」が描く、未来の日常
「ものもの by MATSURI」には、原料から製造プロセス、表現手法に至るまで、循環型社会の実現に向けた技術と叡智が詰め込まれています。藻類由来の品々が日常のあらゆる場面を支える、そんな未来の姿を想像していただければ幸いです。展示品の詳細については、今後も万博MATSURI特設サイトにて順次公開予定です。ぜひ会場にて、藻類が支える持続可能な未来の一端をご体感ください。

展示品を手がけた企業一覧
株式会社ちとせ研究所/株式会社資生堂/マルハニチロ株式会社/武蔵塗料ホールディングス株式会社/株式会社富洋海運/テーブルマーク株式会社

<MATSURIプロジェクト>
https://matsuri.chitose-bio.com/
MATSURIは、2021年に藻類産業の構築を目指してスタートした、ちとせグループ主導の産官学連携プロジェクトです。2025年、MATSURIは藻類の枠を超え、“バイオエコノミーを推進する産業横断型プロジェクト”へと進化しました。バイオを基点とする社会の実現に向け、AIを活用したバイオものづくり、資源循環、持続可能な農業など、私たちの挑戦はますます広がっています。その名の通り、人類史に残るお祭りとして、共に未来をつくる仲間を募集中です。業種・規模を問わず、ぜひご参加ください。お問い合わせはこちらから。

<ちとせグループ概要>
https://chitose-bio.com/jp/
ちとせグループは、世界のバイオエコノミーをリードするバイオ企業群です。千年先まで人類が豊かに暮らせる環境を残すべく、国や多くの企業と協力し、経済合理性を成立させながら技術を社会に展開しています。

◯ちとせグループ全体を統括する「CHITOSE BIO EVOLUTION PTE. LTD.」の概要
・設立:2011年10月
・本社:シンガポール
・代表者:CEO 藤田朋宏 Ph.D.

◯ちとせグループの中核法人として、技術開発・事業開発を行う「株式会社ちとせ研究所」の概要
・設立:2002年11月
・本社:神奈川県川崎市
・代表者:代表取締役 CEO 藤田朋宏 Ph.D./代表取締役 COO 釘宮理恵

<日本館概要>
https://2025-japan-pavilion.go.jp/overview/
大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を、開催国としてプレゼンテーションする拠点である日本館。テーマは「いのちと、いのちの、あいだに」。日本文化の特徴の1つである「循環」を館内に創出することで、自分自身があらゆるいのちとのつながりの中で生かされている存在であり、地球という大きな循環の一部であることに気づく機会を提供します。

<関連情報>
日本館まるごとガイド 
万博MATSURI特設サイト
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