お知らせ

京都大学/ちとせ研究所拠点(NEDO関西圏バイオファウンドリ)にて、AI技術を活用したバイオ生産マネジメントシステムの見学会を行いました

2023.10.27

10月27日(金)、京都大学/ちとせ研究所拠点(NEDO 関西圏バイオファウンドリ)にて、AI技術を活用した自動培養制御システムの見学会を行いました。一般公開の見学会としては、今回が初めての開催となります。日経産業新聞への掲載をきっかけに多くの方々からのお問い合わせをいただいており、今回の見学会も募集人数を大幅に上回るご応募をいただきました。

本見学会は、講義とラボツアーの二部構成で開催いたしました。第一部では、関実プロジェクトリーダーより、バイオ技術を活用したものづくりにおける本拠点の目的についてご説明いただきました。また、京都大学 小川順教授より「パウダー化微生物を用いた機能スクリーニングシステム」の題目でご講演いただきました。その後、ちとせグループ バイオ生産部長 河合哲志より、「次世代バイオプロセス技術の開発 ーAIによる自動培養制御技術開発ー」と題した講演を行いました。

質疑応答では、参加者の皆様から、今後バイオによるものづくりを検討する上での本拠点およびちとせ技術の利活用に関して具体的な質問も多数寄せられました。本拠点は、バイオによるものづくりにおける各工程(選抜~育種~プロセス開発~実生産)のうち、特に実生産への橋渡しを効果的に行うための技術開発を担う、日本を代表するバイオファウンドリ拠点のひとつです。ちとせグループは、本拠点にAIによる自動培養制御基盤を構築し、バイオ由来製品の社会実装加速とバイオエコノミーの活性化に貢献しています。

本拠点でのちとせの取組み内容を紹介している様子

第二部では、実際にAI技術を活用して培養制御を行っている様子を見学いただきました。本拠点の培養装置には、ちとせが独自開発したセンサデバイスが搭載されており、AI学習に適した培養データを収集しております。収集されたデータはちとせ独自技術により合理的に前処理され、AIが学習する上で適切な形に転換されます。ちとせのAIによる自動培養システムは、これら前処理済データ、およびリアルタイムの培養情報を活用しながら、培養状態を自律的に最適化することができます。このAI学習モデルによる培養最適化の特筆すべき点は、人間では実現不可能な動的かつ高度な制御を実現できることが特徴です。ご参加いただいた皆様が、これまでに見たことのないセンサデバイスが培養装置の至る所に接続され、さらにその培養装置が並列し自動制御される様子に驚かれていたのが印象的でした。

見学会では、培養制御システムの開発側の視点だけでなく、実際の培養者のユーザー視点もご紹介いたしました。本拠点に常駐するちとせグループ Senior BioEngineer 赤坂が、ユーザー視点でのデバイスやシステムの使用感、AIシステムの導入により培養者として必要なスキルが従来までと異なってきていることについて評しました。

AI技術を活用した培養制御マネジメントシステムを円滑に運用するためには、周囲環境の整備も重要な技術要素となります。ラボツアーでは、データ収集における周辺環境の技術として、効率的なデータ取得のための実験条件提案システムや、自動制御のための一元管理システム、センサデバイスのIoT化の取組みについてもご紹介いたしました。

後日寄せられたご感想では、データ駆動型培養条件最適化に特化したデータセット(=コンボリューショナルデータ®)を収集していることが斬新でおもしろかった、培養がリアルタイムに制御されている様子を間近で観察できてよかった、AIが熟練者を上回る生産性で培養を制御できることに驚いた、などのお声をいただいております。

ちとせが独自開発したセンサを、現物を見せながら説明している様子

第一回見学会で多数のご応募をいただきましたため、第二回の見学会を予定しております。若干の枠がございますので、ぜひこの機会にお申込みください。培養課題をAI技術を活用して解決したい企業の皆様だけでなく、これからバイオものづくりに参入したいと考えている企業の皆様のご参加をお待ちしております。

<京都大学/ちとせ研究所拠点の設備見学会概要>
・日時:11月30日(木) 13:00〜(開場12:45〜)
    12月1日 (金) 13:00〜(開場12:45〜)
    ※いずれかの日程をお選びください
    ※見学会は同内容です
・人数:各回最大20名
・集合場所:京都大学 北部構内 北部総合教育研究棟 1階 益川ホール
・見学場所: 北部総合教育研究棟 地下1階
・内容:技術説明と設備およびシステムの見学(所要時間2時間程度)
・応募方法:下記フォームよりお申し込みください
     https://forms.gle/Qv11im1YS82gZjcM9

関連リンク
本プロジェクトは、NEDO事業「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」の支援を受けたものです。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101685.html

先日、本プロジェクトの成果が日経電子版に掲載されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC25ALP0V20C23A9000000/

“世界最先端のAI自動培養制御システム” についてはぜひ以下の記事もご覧ください。
https://journal.chitose-bio.com/hottopics76/

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