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お知らせ
名古屋大学大学院理学研究科が主催する「岡崎フラグメントー不連続DNA複製モデル 50周年記念国際シンポジウム」にて、ちとせ研究所の最高科学顧問 古澤満が「Okazaki fragment drives evolution」の題目で講演を行います。
【日程】2018年12月17日(月)~18日(火)
【会場】名古屋大学 東山キャンパス 理学南館 坂田・平田ホール
名古屋市千種区不老町
■古澤満 講演情報
【日時】2018年12月17日(月) 14:40-15:05
【プログラム】
Session II: History and implication of Okazaki Fragment/Discontinuous replication model
「Okazaki fragment drives evolution」
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逆平行(antiparallel)な二本の鎖からなる二重鎖DNA が、5’から3’への一方向にしかDNA 鎖を伸長できないDNA ポリメラーゼによりどのようにして複製されるかは、1960 年代のDNA 複製メカニズムに関する大きな謎であった。故岡崎令治博士と岡崎恒子博士は、T4 ファージ感染大腸菌を材料に用いて、3‘→5’伸長鎖(ラギング鎖)が短いDNA 断片として不連続に合成され、後に連結されることを発見した。この短いラギング鎖DNA 断片は”岡崎フラグメント”と名付けられ、現在も世界的にこの名称が用いられている。その後の研究から、岡崎フラグメントによるラギング鎖の不連続合成は、すべての生物に共通な基本原理であることが確定し、ワトソンークリックが発見した「半保存的DNA 複製」とともに、DNA 複製の2大原理の一つとなった。令治博士は、広島で中学2年のときに被曝したことが原因で、1975 年、44 歳の若さで白血病でお亡くなりになった。その後、御夫人の恒子博士が、令治博士の遺志を継いで名古屋大学で研究を継続し、詳細な機構を解明した。
「不連続DNA 複製」は、DNA 複製の普遍的原理であるのみならず、生物の非対称性、進化に影響を及ぼす変異発生の原理など、生物学の基本的な問題にも大きな影響を及ぼした。特筆すべきは、岡崎令治博士がご存命であったら、ノーベル賞確実と言われていたこの発見が、名古屋大学において、全く独自のイノベイティブな研究として遂行され、発表された点である。不連続DNA 複製の発見から半世紀を迎える本年、「不連続DNA 複製モデル50周年記念シンポジウム」を開催し 故岡崎令治博士と岡崎恒子博士の業績を振り返り、その生物学へのインパクトについて改めて討議したい。
大会ホームページより引用
古澤 満 Ph.D.(株式会社ちとせ研究所 ファウンダー/最高科学顧問)
1932年生まれ。大阪市立大学で教鞭を取りながら発生学の進展に大きな貢献をしたことが認められ高松宮妃癌研究学術会賞など多数受賞。1983年に第一製薬(現第一三共)の分子生物研究室の立ちあげとともに室長として転職、1989年に第一製薬(現第一三共)の取締役に就任する。第一製薬での活動と並行して1987年から1991年には、科学技術振興事業団ERATO「古澤発生遺伝子プロジェクト」統括責任者として活躍。このプロジェクトの数ある成果のうちの一つとして「不均衡進化理論」を提唱。ダーウィンから始まる進化学の論理面の強化に大きな貢献をする。この「不均衡進化理論」を実用化するための器として2002年に、ネオ・モルガン研究所(現ちとせ研究所)を設立。80歳を超えても進化理論の論文の執筆活動を続け、週2回のテニスも欠かさないなど溌剌とした生活を続けている。
古澤が執筆するコラム「古澤コラム」
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