「2025大阪・関西万博」
特設サイトはこちら
イベント / 講演

10月8日(水)〜10日(金)、ちとせグループはパシフィコ横浜にて行われたBioJapan 2025に参加いたしました。BioJapan 2025は、国内外のバイオ関連企業、研究機関、大学が一堂に会し、共同研究や事業提携先の探索を行うアジア最大級のパートナリングイベントです。今年は、藻類産業、資源循環、AI培養制御、バイオ医薬品生産細胞の分野において日頃から協業させていただいている他機関様と共にこれまでの成果を紹介しました。
藻類産業
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)ブース「CO₂の直接利用を基盤とした微細藻類を活用した脱化石資源への取り組み」
こちらのブースでは、NEDOのグリーンイノベーション基金事業(GI基金事業)の一環として進めているCHITOSE Carbon Capture Central(C4)※1 や藻類バイオマスの用途開発についてご説明しました。C4は藻類を活用した脱化石資源への取り組みとして、マレーシア・クチンで稼働している世界最大規模の5 ha藻類生産施設です。
本展示では、藻類の用途開発の成果として、藻類由来油脂を用いた化粧品や、藻類由来樹脂を活用した世界初のバイオペイントなどのプロトタイプ製品をご紹介しました。これらは、当時、MATSURI協賛展示の一環で大阪・関西万博の日本館で公開されており、化粧品は資生堂、塗料は武蔵塗料ホールディングスと共同で開発したものです。また、GI基金の協力機関でもあり、これらを支える取り組みである、産業横断型の共創イニシアチブ「MATSURI」についても紹介しました。石油と似た脂質を生み出すことで知られる藻類の一種、ボツリオコッカス柄に新調した法被を身に着け、途切れることなく訪れる来場者に藻類事業の可能性や、社会的に関心が高まっていることをお伝えすることができました。
展示パネル「CO₂の直接利用を基盤とした 微細藻類を活用した脱化石資源への取り組み」

NEDOブース「微細藻類産業の価値向上を目的とした支援機関」
IMAT(一般社団法人日本微細藻類技術協会)は、藻類の産業利用や関連技術の発展を推進する目的で設立された広島県に拠点を置く社団法人です。藻類に関する研究基盤の構築に取り組んでおり、ちとせ研究所からの出向社員である野村純平がIMAT事務局長を、青木慎一が研究開発部長を務めております。BioJapanの開催中は、広島県から青木が訪れ、藻類培養技術や協会の取り組みについてご説明いたしました。
展示パネル「微細藻類産業の価値向上を目的とした支援機関」

資源循環
NEDOブース「バイオエボリューションディストリクト:有機廃棄物の生物変換を活用する循環型社会へ」
こちらのブースでは、地域から排出される有機廃水、食品・農業・木質廃棄物などといった未利用有機廃棄物を資源化するシステムを紹介しました。これは、複数の生物変換技術を組み合わせることで、廃棄物を無駄なく資源化していく取り組みです。ちとせでは、この資源循環システムを基盤とした地域「ちとせバイオエボリューションディストリクト」の実現を目指し、農業や街づくりを絡めた包括的な事業を推進していることをご説明いたしました。また、今回は特別に、資源循環システムから生まれる高付加価値製品の一つとして、開発を進めているキノコレザーの実物もご紹介し、来場者の注目を集めました。
展示パネル「バイオエボリューションディストリクト: 有機廃棄物の生物変換を活用する循環型社会へ」

AI培養制御
NEDOブース「AI技術を活用し培養を最適化するバイオ生産マネジメントシステム」「次世代バイオ生産:AI技術を活用した培養最適化の成果」
メトリクス領域では、ちとせのAI技術を活用した「バイオ生産マネジメントシステム」についてご紹介しました。本システムは、AI学習に特化した独自のセンサデバイスで培養の変化を捉え、そのデータから将来の状態を予測し、pHや温度等の制御値をリアルタイムで最適化するものです。今回は、味の素社との共同実施の成果を展示しました。制御が難しいといわれる糸状菌の培養の最適化に本システムを適用したところ、人が設計した最良条件と比較して、たんぱく質の生産性を2倍以上に向上させた事例です。本技術は、ちとせが掲げる「生き物を支配するのではなく、その営みを活かす基盤技術」としてさらなる発展を続けております。
展示パネル「AI技術を活用し培養を最適化する バイオ生産マネジメントシステム /次世代バイオ生産: AI技術を活用した培養最適化の成果」

バイオ医薬品生産細胞
MAB(次世代バイオ医薬品製造技術研究組合)ブース「High-Quality mAbs Expressed in CHO-MK Cells」「HAT Cells: High-Yield, High-Quality AAV Gene Therapy」
細胞領域では、ちとせが樹立したCHO-MK細胞とHAT細胞※2についてご紹介しました。CHO-MK細胞は、他のCHO細胞と比較して著しく高い生産性を有するバイオ医薬品製造用宿主細胞であり、HAT細胞は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子治療薬の製造に特化した高性能な細胞株です。国外への進出にも注力する同領域では、日本、インドネシア、フランス、タイ、イラン出身のメンバーらがブースに立ち、両細胞の樹立過程や次世代バイオ医薬品製造におけるボトルネックを解消する高い可能性についてご紹介いたしました。

講演「我が国におけるバイオ医薬品製造エコシステムを目指して ー次世代バイオ医薬品製造技術研究組合の活動紹介ー」
ちとせ研究所 取締役 最高技術責任者 堀内貴之とGeneral Manager 平井悠吾が、次世代バイオ医薬品製造技術研究組合 (MAB)のスポンサーセミナー「我が国におけるバイオ医薬品製造エコシステムを目指して ー次世代バイオ医薬品製造技術研究組合の活動紹介ー」に登壇しました。
日時:2025年10月10日(金)10:00~11:00
演者/題目:
堀内貴之「CHO-MK細胞の研究開発・社会実装の最先端」
平井悠吾「HAT細胞、アデノ随伴ウイルスベクター製造時の新たな選択肢」
講演資料:https://cho-mab.or.jp/news/detail.php?id=920

長岡市ブース
毎年恒例の鏡開きが行われました。ちとせグループCOO釘宮も鏡開きのセレモニーにご招待いただき、お集まりの皆さまに長岡の地酒を振る舞わせていただきました。

今年のBioJapanには22,167名の来場があり、ちとせ関連ブースにも、連日非常に多くの来場者にお立ち寄りいただきました。大阪・関西万博の日本館ではテーマの一つに藻類が取り上げられましたが、今年は一層バイオエコノミーやその技術への関心が広まっていることが感じられます。ちとせはこれからも千年先まで続く豊かな未来を実現すべく、バイオエコノミーを推進してまいります。
<BioJapan 2025 概要>
イベント名:BioJapan / 再生医療JAPAN / healthTECH JAPAN
日時:2025年10月8日(水)~10月10日(金)10:00~17:00
会場:パシフィコ横浜 展示ホール、アネックスホール
公式ウェブサイト:https://jcd-expo.jp/ja/
<MATSURIとは>
https://matsuri-partners.chitose-bio.com/
MATSURIは、2021年に藻類産業の構築を目指してスタートした、ちとせグループ主導の産官学連携の取り組みです。2025年、MATSURIは藻類の枠を超え、“バイオエコノミーを推進する産業横断型の共創イニシアチブ”へと進化しました。バイオを基点とする社会の実現に向け、AIを活用したバイオものづくり、資源循環、持続可能な農業など、私たちの挑戦はますます広がっています。その名の通り、人類史に残るお祭りとして、共に未来をつくる仲間を募集中です。業種・規模を問わず、ぜひご参加ください。お問い合わせはこちらから。
関連情報
[ニュース] BioJapan 2025の展示ブース5ヶ所に参加 ―バイオエコノミー社会実現へ向けたシステムを多数紹介―
[プレスリリース] 「『藻』のもの by MATSURI」展示品一挙公開! 2025年大阪・関西万博日本館ファクトリーエリアにて 藻類を活用した循環型ものづくりを実現
[プレスリリース] 人が設計した最良条件を、ちとせのAIが凌駕 – 培養制御が難しい糸状菌でたんぱく質の生産性を2倍に向上 –
AI技術を活用し培養を最適化するバイオ生産マネジメントシステム
バイオ医薬品製造用の発現細胞株構築受託サービス